子どもがしっかり動ける環境をつくる 発達をサポートする「動く習慣」の作り方
「運動しなさい」
「外で遊びなさい」
よく言うけれど、
実際にどう環境を整えればいいかは人それぞれです。
生活時間・気候・安全・好きな遊びのタイプ…すべて違います。
そこでこの記事では、
✔ 子どもが「動く習慣」を作る環境とは何か
✔ 外遊びだけでなく室内遊びでもできる工夫
✔ 発達や体力との関係データ
を、読みやすく整理しました。
子どもの体を動かす時間は減っている
近年の傾向として、
- 子どもが運動遊びやスポーツをしない割合は増加傾向
- 10〜14歳の子どもの「1日でも運動した」割合は、1996年の約97%から、2021年には約86%へと減少している
→ これが身体活動の減少を示す一つの指標です。(参考*朝日新聞)
また、統計では、
- 幼児のうち約8.1%が1週間まったく外遊びしていない
→ 室内だけで過ごしている子どもも一定数います。(参考:朝日新聞)
スポーツ庁の調査でも、
1週間の総運動時間が1日平均60分未満の児童が半数に近いという実態が出ています。(参考:プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)
全体として「体を動かす時間が減っている」という現実は、環境や生活時間の変化が影響していると見られます。
なぜ「遊びながら動く」ことが大事なの?
体力だけじゃない“発達全体”に効く
規則的な運動だけでなく、自由遊び・外遊びは、
- バランス感覚
- 空間認知
- 社会性
- 問題解決力
といった能力も育てます。(参考:朝日新聞)
また、屋外で過ごす時間やスポーツへの参加は、
年を重ねたときの運動能力にまで関連するという研究もあります。
幼児期の屋外活動が、後年の運動能力の予測因子になっているという報告もあります。(参考:スポーツ栄養Web〖一般社団法人日本スポーツ栄養協会(SNDJ)公式情報サイト〗)
「外遊び」だけが答えではない
もちろん、日差しや猛暑などの環境的問題で
屋外で長時間遊ばせられない日もあります。(参考:朝日新聞)
そんなときに有効なのが、うち遊びで体を動かす工夫です。
例えば、
- ジャンプ遊び(クッションの上で)
- 障害物コース(椅子やクッションを使う)
- ダンスタイムやリズム遊び
など、屋内でも十分に体を動かせる仕組みを作ることができます。
公益財団法人日本スポーツ協会の「アクティブ・チャイルド・プログラム(ACP)」サイト(https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/acp/)では、専門的な知見に基づいたさまざまな運動遊びを紹介されていました。ぜひ参考にしてみてください。
親が作れる“動く環境”
✔ 1. まずは「動く時間」を決める
毎日「必ず動く時間帯」を設けるだけで、習慣化が進みます。
例:
朝の10分 → 鬼ごっこ
夜の15分 → リズム遊び
これにより、24時間の生活リズムの中に
“動く時間”を組み込むことができます。(参考:共同通信社)
✔ 2. 外遊びのチャンスを逃さない
- 放課後
- 週末
- 短時間でもOK
外遊びは、
体を動かすだけでなく太陽の光でビタミンDを生成し、骨の成長や睡眠の質にも良い影響を与えます。
さらに、研究では「1日2時間程度の外遊び」は、近視の発症リスクを抑える可能性があると示唆されています(海外調査)。(参考:朝日新)
✔ 3. 室内での「自由遊び」を取り入れる
大事なのは“遊びの自主性”です。
構造化されすぎない、
子どもが自発的に動ける遊びは、
- 身体能力
- 認知能力
- 社会性
すべての領域に良い影響を与えます。(参考:朝日新聞)
自分でできる「体の評価・チェック方法」
子どもの体の動きチェック【5つ】

目的はこれです👇
「異常を見つける」ではなく、「今の発達(成長)段階を知る」こと
完璧にできなくてもOK。
「できる・できない」より
どこがやりにくそうかを見るのがポイントです。
① 立ち姿勢チェック(静的バランス)

🔍 やり方
子どもに「まっすぐ立ってみて」と声をかけます。
✔ 見るポイント👇
- 頭が前に突き出ていないか
- お腹が前に出すぎていないか
- 体重が左右どちらかに偏っていないか
❌ よくある状態
- 片足に体重をかけて立つ
- 背中が反っている or 丸まっている
- じっと立っていられずフラフラする
🧠 何がわかる?
- 姿勢を保つ筋肉(体幹・下肢)の状態
② 片足立ち(動的バランス)

🔍 やり方
- 裸足 or 室内靴でOK
- 片足で 10秒 立てるか
- 左右両方を確認
✔ 見るポイント👇
- 足を何度もつき直す
- 上半身が大きく揺れる
- 目線が定まらない
🧠 何がわかる?
片足立ちは、
- 体幹の筋力の状態
- 足首・股関節の柔軟性と筋力の状態
- バランス感覚
を同時に使います。
③ バンザイ(肩・体幹の連動)

🔍 やり方
- 両手をまっすぐ上にバンザイ
- 肘が伸びているか
- 耳の横まで腕が上がるか
✔ 見るポイント👇
- 頭が前に突き出ていないか
- お腹が前に出すぎていないか
❌ 注意ポイント
- 腰が大きく反る
- 肩がすくむ
- 途中で止まる
🧠 何がわかる?
- 肩・背中・体幹の連動
- 上半身の柔軟性と安定性
→ 反りすぎる場合は
体幹で支えられず、代償動作が出ている可能性。
④ 前屈(柔軟性+体幹コントロール)

🔍 やり方
- 膝を伸ばしたまま前屈
- 床に手が届くかは気にしなくてOK
✔ 見るポイント👇
- 腰だけ曲がっていないか
- 顔が極端に下がらないか
🧠 何がわかる?
前屈は、
- ハムストリングス(太もも裏側にある筋肉)の柔軟性
- 腰・骨盤の動き
を見ます。
→ 硬さ=悪ではなく
「動かす経験が少ない部位」のサイン。
⑤ しゃがみ込み(全身協調)

🔍 やり方
- かかとを床につけたまましゃがむ
- 手は前に出してOK
✔ 見るポイント👇
- 後ろに倒れていないか
- 踵が浮いていないか
❌ 見るポイント
- かかとが浮く
- 後ろに倒れそう
- 途中で座り込む
🧠 何がわかる?
しゃがみ動作は、
- 足首・股関節の柔軟性
- 体幹の筋力の状態
- バランス
を総合的に使います。
まとめ|動く環境は、発達(成長)の基礎作り
✔ 子どもの運動量は減っている
✔ 体を動かすことは体力だけでなく発達全体に影響
✔ 外遊び・うち遊びどちらの環境づくりも大切
✔ シンプルなチェックで体の状態をつかめる
子どもにとって「動く環境」は
ただの遊び場というだけではありません。
子供とのコミュニケーションの1つとして、また、自分への健康づくりの1つとして取り組むこともいいかもしれないですね。
※当ブログで紹介している健康・姿勢・運動に関する内容は、医療行為や診断を目的としたものではありません。
実際の体調や症状については、医師や専門家にご相談ください。
